会長方針

2023年度 本部会長方針

2023年度

経営の原点に戻り自社の強みを活かして経営革新
~リーダーのマインドイノベーションから始める~

1.自社の強みを活かすための経営革新
日創研経営研究会は、「自社の存在価値を高めよう」という、高い志を持った経営者の集まりです。パーパスが数年前から謳われるようになりましたが、パーパスとは「単なる目的をもった経営ではなく、『自社がなぜ社会に存在するか』」などと定義されています。
日本は、世界のトレンドからあらゆる面で遅れをとり、日本の得意分野であった半導体産業も、1988年に世界シェアが50.3%だったのが、日の丸半導体は日米半導体協定の影響を受け、2019年は10%まで低下しました。その他、当時世界に誇った産業も衰退の一途を辿り、自動車産業が唯一踏ん張っているという状況です。
これは未来を見越して、自社の強みの一層の強化を怠り、足らざる部分を徹底して補強しようという経営姿勢が欠けていたためです。
経済産業省から、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる人的資本経営が提唱され、岸田政権でも人的資本への投資の強化が打ち出されています。
我々中小企業は、仕入れ物価の高騰に対して、売価への転嫁ができにくく、その上に最低賃金の見直しなどで、さらに生産性の悪化が懸念されます。
これらに立ち向かうためには、未来を見据えたリスキリングが喫緊の課題であり、我々中小企業はトップマネジメント層が舵を取るべきだとする主張が強くなっています。
日創研と日創研経営研究会では、リスキリングを本来の“学び直し”と訳さず、“学び増し”と意訳し、既存知識に加えてさらに学び増すことと定義し、提唱してまいります。
新型コロナウイルスの影響で、多くの産業が従来のビジネスモデルでは立ち行かなくなったこともありますが、海外の回復が早い反面、日本だけは大幅に遅れています。
そのような観点から、2023年度の本部会長方針を「経営の原点に戻り自社の強みを活かして経営革新~リーダーのマインドイノベーションから始める~」にしました。従来の考えから脱皮して、より一層の経営革新に力を注ぎ、攻めの姿勢で、本業の強みの強化策に取り組む時だと思います。

2.経営革新二つのポイント
① 「リスキリング(学び増し)」
世界経済フォーラムは、2025年までにデジタル化の加速で事務職など8,500万人分の雇用が失われるが、AI専門家など9,700万人分の新たな雇用が生まれると予想しています。
企業が競争力を維持するためには、社員のリスキリング(学び増し)やスキル向上への投資が重要で、社員が継続して新たなスキルを身につけられる仕組みの整備が喫緊の課題です。
② 「セルフ・アウェアネス」
日創研創業以来、永年にわたって必要不可欠とお伝えし続けているのが「自己への気づき」です。2019年にハーバード・ビジネス・レビューから「セルフ・アウェアネス」が発売され、スタンフォード大学経営大学院の調査では、リーダーが伸ばすべき最大の能力の筆頭に挙げられています。
つまり、すべての事柄の正否は、気づきのスキルが決めており、企業経営の悪化は、経営者や経営幹部の気づきのスキルが弱まっているものと考えます。
自社の強みや弱点に一早く気づき、自社の成長の機会や脅威への気づきを活かしてこそ、将来必要なスキルへの投資に気がつけるのです。
パナソニック ホールディングスの松下幸之助創業者は、「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」という有名な言葉を残していますが、まさに自社の強みを最大限活かしてこそ、次の道は見えてくるものと思います。

3.入会トライアル(愛媛モデル)から学ぼう
愛媛経営研究会が、2022年度からトライアル入会制度を開始しました。1期生25名のうち、6月に9名の入会という大きな結果を残しました。2023年度は、本部にトライアル特別委員会を設置して、入会トライアル(愛媛モデル)の実践を、各地経営研究会にも強く推進していきたく思います。
入会トライアル(愛媛モデル)は、少人数の経営研究会では難しいという問題提起もあります。しかし、この入会トライアル(愛媛モデル)を着想し、具体的に実行に移した方自身も、実際に長い業績悪化を乗り越えてこられた方ですので、可能思考で取り組んで頂きたく思います。

4.経営革新と競争優位をつけよう
経営課題の解決を遅らせてしまった企業は、すでに廃業か売却かの二者択一を迫られる厳しい時代に突入しています。一度高騰した物価は、下がって元に戻ることは、ほとんどありません。中小企業でも、売価に転化する術もない企業は淘汰されます。
そこで、重要課題に関して早急に手を打つべきことは経営革新による下記の五点です。
① 生産性をあげる
② 定着率をあげる
③ 個の強みを組織に活かす
④ 目標設定の意味付けを明確にする
⑤ 人財育成(リスキリング)

具体的施策
1. 特別研修を「経営革新と競争優位に絞りこむ内容にする」
2.「経営革新5時間セミナー」の同時開催
2022年度本部会長方針にも掲げましたが、
「好不況であろうと、うまく行かない方々の特徴は、①自社の問題が明確になっていないこと。②事実と真剣に向かい合わない事。③達成すべき企業目標や課題が見えないことです。
日創研経営研究会の本体である日創研では、この3点を問い続けビジネスの本質論や、最大の生き残り策として、人財育成、顧客満足の追求、顧客価値向上以外にないと、伝えてきました。
「2020年のコロナ発生ではかなりの業績悪化が起こり、素早く手を打った結果、増収増益企業が66.3%。減収減益は30.4%。この中には赤字企業が18%あります。」と、22年度方針に述べ、かつ「石油、木材、鉄鋼、半導体などの諸々の問題の可能性が出てきます。」と、述べています。
2022年度方針を振り返って、我々が一番深く考えなければならないのが、自社の経営の出発点はなんだったのか?創業時期の困難や苦労をどのようにして乗り越えたのか?そうした自社の原点に戻れば必ず色々な智恵は生まれてきます。
本業の強みを活かし、弱みを克服して新しいビジネスモデルをつくり上げるべく、お互いが共に学び合っていきましょう。

日創研経営研究会設立の精神
「自らの志を決してあきらめずに成し遂げること」
それは可能思考教育で学んだことである。
その学びを研修終了後も忘れることなく、
さらに互いが切磋琢磨して高め合いたい
広く社会に貢献できる経営者になりたい
強靭で広く支持される良い会社創りをしたい
そのような強い思いを持った経営者が今日ここに集う
1994年8月24日の誓いに戻り、その原点の元にベクトルを合わせて、結束しなければならないと思います。
本部会長として、こうした歴史的な危機に際し、全員が笑顔で昔話を出来るような日創研経営研究会にしたいと思います。
「組織のルールと個人的な自由はどちらが優先されるべきですか?」は、古くから議論される新しい議論の対象です。部分を優先するのではなく、絶えず「経営的な発想」から全体最適を求めて参りたいと思います。個人主義と利己主義のはき違えが、経営者や経営幹部にも生じています。
我々はこのような時こそ右往左往するのではなく、自社の未来のために経営に集中し、お客様活動を改めたり、販売方法を変えたり、価格や商品に付加価値をつけたり、デジタル社会に備えたり、ターゲットのお客様を変えたりする機会です。慢心や現状維持こそ我々の最大の敵です。

●自社の永続や繁栄や目的達成の為に、下記に具体的な方針を掲げます。
1) 入会トライアル(愛媛モデル)実践を通して経営革新を学ぶ
入会トライアル(愛媛モデル)はあくまでも方法です。しかし、多くの人的資源が各地経営研究会には存在します。経営研究会全員が、もう一度「本業の強みを活かし弱みを改善するために学び」なおして、一早く経営革新することです。おそらく大きな波は我々の予測を超えて動いていくモノと思います。
それだけに、一つの機能体組織運営を通して会運営を行い、会員一人一人が自社を良くすることが地域の活力になることを自覚し、共同体組織運営の有り方としての自負をもって、地域の方々と「共に学び共に栄える」経営研究会の存在意義を高めていきます。
2) 何のために日創研経営研究会に入会したのか?
日創研経営研究会には「一つの理念・二つの目的・三つの誓い」があり、本部理事会で長年にわたって議論し続けて現在に至った定款・諸規定があります。「なぜ、現在の定款・諸規定に至ったのか」このプロセスを不理解のまま否定するのではなく、仮に企業経営を学び繁栄させることに反するものがあれば、本部理事会の場で協議する必要があります。理事会とは理(正しい)事を会(あつまって)議論(正しく述べ論じあいベストの解をだす事)することをいいます。「一つの理念・二つの目的・三つの誓い」に沿って、困っている仲間を支援することが大事です。
3)健全な経営組織は成果をつくる
中小企業にもう逃げ道はありません。今こそ、一つの理念「共に学び に栄える」に戻り、二つの目的を遵守し、コロナ問題で揺れ動く会員さんを支援する時です。
支援とは甘え合う事ではありません。苦しい時こそお互いが本音で企業経営の有り方をアドバイスしあい、経営革新のために叱咤激励しあう時です。
月刊『理念と経営』を通して討議をしあい、人財育成に力を入れる時です。どういう社員がいるか?経営幹部は真にマネジメントしているのか?そういう学ぶ場を与えているのか?経営者は本気で自己修養に努めているのか?
2022年は、前髙橋副会長が「月刊『理念と経営』経営者の会」の会長に就任され、支部を小さなコミュニティ活動の場として、啓蒙活動に努力されています。
各地会長・事務局長、本部役員のリーダーシップで、苦境に喘ぐ仲間に「経営の在り方・基礎・基本」を教え導いていただきたいと思います。
4)経営理念でも機能性を訴求していく時代
日創研では三年前から経営理念作成も変化させています。従来型の精神論に偏るのではなく、機能的でなければならないとお伝えしています。
精神性や道徳性は当然のこととして、それに加えて、市場性、具体性、戦略性、革新性、成長性がステークホルダーに伝わり、共感されなければいけないのです。企業経営は内省的な考察と活動的な考察が統合され、それらが経営戦略化されマネタイズされていくのです。

具体的な施策

1)入会トライアル(愛媛モデル)を強く推奨
従来の会員拡大だけではなく、入会トライアル(愛媛モデル)は、正会員増強の仕組みでもあり、各地経営研究会にとっても、新入会員さんにとってもWin-Winの内容で、正会員や準会員の協議も不要となり、本部理事会運営が前向きになることも得策です。
ただ、歴代会長の力量や現会長のリーダーシップが問われます。各地会長からのご相談として、歴代会長による会運営や次年度人事への介入(正当と思う場合もあります)などがあります。
縦軸に人間性、横軸に知識・技能性で両輪が求められますが、最大の人的資源が求められる中で、トライアル特別委員会からの啓蒙やサポートもあり、新しい息吹を感じます。
担当の眞鍋副会長だけではなく、景山本部会長特別補佐と森脇本部会長特別補佐の支援も頂き、大きなうねりを創る意味でも日創研経営研究会のイノベーションにもなるものです。
加えて、組織活性化委員会の担当副会長、委員長やブロック長、副ブロック長もサポート体制に入り、前向きな形でのブロック会議として、正会員の在り方、日創研経営研究会本来の例会運営や講師の在り方、日創研経営研究会設立の精神、一つの理念、二つの目的、三つの誓いにも及び、組織の共通の目的が明確になるものと思います。

トライアル特別委員会担当副会長・組織活性化委員会担当副会長
本部会長特別補佐

2)グローバルな視点からサプライチェーン問題を理解し、原油の高騰、半導体の素材不足、鉄鋼の高騰、ウッドショックなど、今後のテールリスク情報収集を行うと同時に、経営革新5時間セミナーの開催を本部会長も行います。

経営革新委員会担当副会長

3)本部三大事業(全国大会in函館、全国経営発表大会、特別研修)の開催
2022年度の全国大会in函館が一年延期となり、2023年度は大会テーマ「道を拓く~変革への挑戦~」にて開催を予定していますが、開催概要や内容について、今後の感染状況が予測不能な状況でありますが、コロナウイルス感染拡大を鑑みて参加会員の皆様の安全・安心な開催に注力し、「経営の原点に戻り自社の強みを活かして経営革新」の本部会長方針を念頭に置いた大会の実現、そして、全国経営発表大会」・「特別研修」も同様に開催に向けて尽力いただきたいと思います。

全国経営発表大会担当副会長
全国大会委員会・特別研修委員会担当副会長

4)会員社員さんによる発表の「13の徳目朝礼大会」の初開催
会員による「13の徳目朝礼大会」が、第12回で一区切りしました。
促進役のありがとう経営推進・実践委員会の歴代担当副会長・正副委員長・委員の皆様に、心から感謝を申し上げます。
2023年度全国大会in函館から、会員社員さんによる発表の事業となり、実際の朝礼が仕事の意義などを学ぶ場となり、リテンション効果や公式教材の導入促進効果を生み出すものと思われます。

ありがとう経営推進・実践委員会担当副会長

5)公式教材の月刊『理念と経営』を活用した、「理念と経営・共に学ぶ会」のさらなる導入促進。
とかく、日本は情報を重要視しません。知識社会の知識とは、「どの情報を収集し、どの情報を捨てるか」にあります。自社の重要性や優先順位、あるいは意思決定が、これらの情報の総和にあることに対する理解が、まだまだ不足しているように思います。
「理念と経営・共に学ぶ会」を全社展開している企業は、働く社員さんの視野や視点を広げ、さらに高め、深める道具の一つとして、情報を位置づけています。TTコース卒の会員が上場したり、各地域の優良企業として活躍するのは、視野や視点が高くなることで、人間力・考える力・仕事力・感謝力の向上につながっているからです。

公式教材活用委員会担当副会長

6)運営規定に基づいたハイブリッド例会の浸透。
コロナ禍により、リモート化が進み、非常に便利になりました。しかし、その分が企業にも経営研究会にも「気楽さ・ついでに・ほどほど」気分が生じています。礼儀、最低限のマナー、エチケットが軽んじられる傾向にあります。コロナ前のリアル開催のみだった当時と同じように、お互いがトップリーダーらしく、服装、ネクタイ、会長挨拶、監事講評など、運営規定に基づいた緊張感あるハイブリッド例会の運営を心掛けていただきたいと思います。

組織活性化委員会担当副会長

7)本部レクチャラーの最大活用
日創研経営研究会の本部役員と本部レクチャラーは、日創研経営研究会設立の精神、一つの理念、二つの目的、三つの誓いに共鳴した会員で構成しています。
本部レクチャラーは、本部研修を継続して学び続け、具体的に黒字経営の実践に努めています。例会は、本部会長方針の実践する場でもあり、 本部レクチャラーは本部会長方針を展開するための重要な役割を担っています。
日創研経営研究会の足並みを揃えるために、本部レクチャラーの最大活用していただくことをお願いします。

レクチャラー委員会担当副会長

8)本部正副会長・本部会長特別補佐・監事・本部事務局長会議開催
有事の際では、詳細にわたっては緻密にタイムリーな意思決定を
して、変化に対応していく形で臨み、各地区の情報共有のためにも、各地区の問題点や課題点を討議し、コンセンサスを取り、早期に対応策を決め、本部会長の合同同日例会や、各地単会支援の合同例会のコンセプトの共有

本部副会長・本部会長特別補佐・本部事務局長

日創研経営研究会
本部会長 田舞 徳太郎

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